今年はこれまでにないほど充実した1年となりました。
まずは、6月に主催した第50回生体分子科学討論会・第3回生命金属科学シンポジウムです。170名にのぼる方々とともに盛況に終えることができました。プログラムの策定や協賛金の募集など、諸々の準備は大変でしたが、記念すべき第50回に、この討論会を始められた北川禎三先生にも参加いただきお言葉を頂けたことは、私の大きな誇りとなりました。
また、5年間続いた新学術領域研究「生命金属科学」が3月に終了し、研究室としても一つの区切りになりました。想像もしなかった「コロナ禍」に見舞われましたが、むしろそのおかげでいろんな対応や取り組みを行い、充実の5年間でした。おかげさまで、知り合いの数が爆発的に増え、いろいろな研究を知ることができ、本当によかったです(領域最後のニュースレターに感謝の記事を書きました)。
生命金属科学のような大型プロジェクトが終了すると、事後評価を受けることになります。そのための事後評価報告書を取りまとめて作成したり、ヒアリングのためのスライドを作ったりと、こちらも相当大変でしたが、生命金属科学のメンバー(15名の計画班と43名の公募班)の成果をくまなく知ることができ、私自身の今後の研究にも大いに活かすことができそうです。おかげさまで、良い事後評価結果をいただくことができました(そのうち、ここに結果が公開されるはずです)。さらには、生命金属科学の成果を形にするという意味もあり、Editorとして18名の方々からのご寄稿をとりまとめ、Copper in Biologyという内容で書籍が刊行される予定です。
一番大事なことですが、研究の成果は2報の原著論文として報告することができました。1報は京都府大の田中先生・雨坂さんとの共同研究で、ALSに関連するSOD1単量体を特異的に認識するモノボディという抗体様分子を開発できました。BLItzによるタンパク質間相互作用の解析、酵母表層ディスプレイ法による相互作用解析・スクリーニングなど、新たな実験手法を経験することができました。また、もう1報は、M2の篠君が進めてきたイヌの神経変性疾患DMに関わる変異型SOD1に関する研究です。久しぶりに研究室の学生が筆頭著者となった成果で、村木さんの指導もあって結晶構造解析の技術をしっかりと身につけてくれました。そのほかにも、日本語総説記事が1件、投稿中論文が1報(共同研究)、執筆中論文が1件、早く論文にしないといけないのが2件と、なかなか頭が回らない状態ですが頑張ります。
教員・学生含め、発表・実験のためにいろんなところに出張に行ったことも、今年の研究室の特徴です。招待講演は4件(うち2件が国際)、学生の口頭発表は4件(うち1件が国際)、ポスター発表は11件と順調です。特に、M2の篠君とともに、中国桂林で開催されたAsBIC11に参加することができ、久しぶりの海外講演となりました。
ただ、成果を追い求めるだけでは長続きしません。どんな細かなことでも良いですから、日々の実験で常に疑問を持つことを大事にして、知的好奇心を満たすために、私の研究室の学生にはプライドを持って頑張ってもらいたいと考えています。
このほかにも、ここには書くことができない色々なプロジェクトや仕事を進めています。本当に多くの方々にお世話になり感謝しております。来年からもどうぞよろしくお願いします。